神奈川県鎌倉市在住の社会保険労務士です。誰にでも病気やけががありますが、障害が残り働けなくなった場合等、認められれば障害年金が支給されることをご存じですか?癌、糖尿病やペースメーカーを入れている方や人工透析を受けている方でも場合によっては、受け取れますが知らずに請求していない人もいるようです。

私は、元地方公務員で障害福祉の業務に携わっておりました。障害のある方にとって、障害年金受給により固定的な収入を得ることは、安定した生活を送るためにとても重要ですが、受給に至るまでには、長い期間を要するため継続したエネルギーが必要なうえ、請求手続きがとても複雑なため、途中であきらめる方もいます。

 

年金といえば老齢年金しか思い浮かばず国民年金保険料を納めない方もいらっしゃいますが、老齢だけでなく障害や死亡の際も公的な保険として支給されます。私は国民年金保険料は納付すべきと思いますし、さまざまな事情で納付できない場合は、一定の要件により免除措置の制度もあります。保険料が免除された期間は保険料免除期間であり、保険料滞納期間とは異なります。保険料滞納期間は何の保証も得られない期間となります。

 

給付の名称は、厚生年金の場合は老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金となり、国民年金の場合は、老齢基礎年金、障害基礎年金と遺族基礎年金となります。

障害年金の障害等級は重いほうから1級、2級、3級の3つです。障害厚生年金は3級まで給付されますが、障害基礎年金は1級と2級のみです。

厚生年金の加入期間中に、傷病の初診日があった人は障害等級が1級又は2級であれば、障害厚生年金と障害基礎年金が支給され、3級であれば障害厚生年金のみ支給されます。又、国民年金加入中に、傷病の初診日があった人は障害等級が1級又は2級であれば、障害基礎年金のみ支給されます。

 

初診日とは、障害の原因となった傷病について初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。障害年金の手続きでは、初診日を特定することは特に大切です。支給される制度、保険料納付要件や障害の程度の決定時期にも関わってきます。具体的にはつぎのような場合が初診日とされています。

・はじめて診療を受けた日(治療行為または療養に関する指示があった日)

・同一傷病で転医があった場合は、一番はじめに医師等の診療を受けた日

・過去の傷病が治癒(社会的治癒を含む)し、再発した場合は、再発し医師等の診療を受けた日

・健康診断により異常が発見され、療養に関する指示を受けた場合は、健康診断日

・誤診の場合であっても、正確な傷病名が確定した日ではなく、誤審をした医師等の診療を受けた日

・じん肺(じん肺結核を含む)については、じん肺と診断された日

・障害の原因となった傷病の前に相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日

カルテが残っておらず、初診日がわからない場合の参考となる主な書類

・身体障害者手帳、身体障害者手帳交付時の診断書の写し、交通事故証明書、事業所の健康診断の記録、診療受付簿、入院記録、当時の診察券、投薬袋、健康保険の診療給付記録など

 

障害等級が1級とは、日常生活に著しい支障があり、かつ他人の介助を受けなければ殆ど自分の用を弁ずることができない程度のもの。2級とは、日常生活に著しい制限を受けるか著しい制限を加えることを必要とする程度もの。これは、かならずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度のもの。3級は労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。

 

障害年金の受給要件は、

(1)病気やけがの初診日に、国民年金か厚生年金に加入していること。20歳前、又は被保険者の資格を失った後でも60歳以上65歳未満で日本国内に住んでいる間に初診日がある場合は、国民年金に加入しているのと同じ扱いとなります。

(2)保険料納付要件を満たしていること。これは、①初診日の前日において初診日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち、国民年金の納付済み期間(厚生年金保険等の被保険者期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上であること ②初診日の前日において初診日の属する月の前々月までの12か月がすべて保険料納付済みか、免除を受けた月であるとき

(3)上記の病気やけがによる障害の程度が、障害認定日において、厚生年金の場合は1級から3級までのどれかに該当すること。又、国民年金では1級か2級に該当したとき。厚生年金では、3級よりも軽い障害の状態であって、障害手当金に該当すると一時金が支払われる。

 

障害認定日とは、障害の程度を定める日のことで、その障害の原因となった傷病についての初診日から起算して1年6か月を経過した日、または、1年6か月以内にその傷病が治った場合(症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った場合を含む。)はその日。ただし、次に掲げる日が、初診日から1年6か月未経過のときは、その日が障害認定日になる特例があります。

・人工透析治療を行っている場合は、透析開始から3月を経過した日

・人工骨頭または人工関節を挿入置換した場合は、挿入置換した日

・心臓ペースメーカー、ICD(植込み型除細動器)または人工弁を装着した場合は、装着した日(診断書は装着後2~3か月後の現症のものが必要)

・人工肛門または新膀胱の造設、尿路変更術を施術した場合は、造設または手術施行の日

・切断または離断による肢体障害は、原則として切断または離断した日(障害手当金の場合は、創面が治癒した日)

・咽頭全摘出の場合は、全摘出の日

・在宅酸素療法を行っている場合は、在宅酸素療法を開始した日

・脳血管疾患による肢体障害等で、初診日から6月経過後の症状固定の場合は、症状固定日(診断書等に「症状固定」や「回復見込みなし」等の記載がある場合)

・人工血管または人工心臓の装着、または心臓移植の施術を受けた場合は、装着または施術の日

 

受給できる年金額はいくら位でしょうか。

障害基礎年金額は、

(1級)983,100円+子の加算額

(2級)786,500円+子の加算額

子とは18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子及び20歳未満で障害等級1級または2級の障害者。子の加算額は第1子・2子は226,300円、第3子以降は各75,400円。

障害厚生年金は、

(1級)(報酬比例の年金額)×1.25+配偶者の加給年金額(226,300円)+基礎年金

(2級)(報酬比例の年金額)+配偶者の加給年金額(226,300円)+基礎年金

(3級)(報酬比例の年金額) 589,900円に満たないときは、589,900円

被保険者期間が、300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算します。また、障害認定日の属する月後の被保険者期間は、年金額計算の基礎とはされません。

 

 

専門家に任せるメリット

障害年金請求は、その症状や受診状況からの各々の請求方針の確立、医療機関や年金事務所との調整、申請書類の作成等とても困難な課題が横たわり、更に申請書類の書き方一つで結果が異なる可能性があり、ご自身だけの請求には無理があるように思います。使われる言葉一つをとっても、「初診日」「障害認定日」「事後重症」「受診状況証明書」「病歴・就労状況申立書」等の理解が必要あり、国民年金と厚生年金との関係も知っておく必要があります。

そこで、専門家に依頼することにより、ご自身は少しでも楽に、又、少しでも有利に確実に支給されるようにすべきではないかと考えています。

 

料金は成功報酬型で安心です

初回相談料は無料。2回目以降は60分/5,000円

着手金 20,000円

成功報酬額(成功報酬とは、予定通り支給があれば発生する料金となります。)

・ 事後重症や障害認定日請求の場合 年金の2か月分

・ 遡及請求の場合 遡及分も含めた最初の振込金額の15%。ただし、年金額の2か月分に満たない場合は年金額の2か月分とする。

・ 障害手当金の場合は障害手当金の15%